2015年2月24日火曜日

小屋作りスタート

友人のハギオ氏の協力のもと、ついに小屋作りが始まりました。

構想はずっとあって去年の秋から始める予定だったのですが、
日々やらなくてはならないこと(木を切ったりコーヒー豆を焙煎したり)に忙殺され中々始まらないことを見かねたハギオさんが
「俺が手伝うから」とのことで小屋作りを始めてしまうことにしました。

この写真の斜面と上の段に4畳ほどの小さな小屋を建てる予定です。
 まずは斜面を切り崩し平らな場所を作り、石垣を築いていきます。
そこを建物の半地下にして、薪や外で使う道具の置き場所にします。
斜面を全て平らにするのではなく、地形を生かすことで労力も最小限にできるという設計です。

しかも石垣に使う石は敷地内で集められる物です(当然タダ!)。
大きな石は作ることはできないので、大切な資源なんですよねえ。

ユンボはなどは使わず、全て人力での作業です。
何が大変かと言うと、斜面を掘るよりも大きな石を運んで来ることが大変でした。

まずは角を決めてちょうど四角になっている大きな石を置いてみます。
 掘っては石を置きを繰り返します。
 ハギオさん登場!
石を運んだり、土を削ったり、2人になると作業が2倍以上にはかどります。
しかも色々できるハギオさんなのでおおいに助かりました。
ハギオさんありがとう!

石垣を2段目まで築いたところ。
一番高い所で3段目まで石を積みました。
ここまでやるのに2人で1日くらいでした。

今日でも田舎では石垣をいたる所で見ることができます。
昔は全て人力でやっていたと思うのですが、
あんな大きな石を(この写真の倍以上もある石)どのように運んで積んでいったのだろうと驚いています。

2015年2月20日金曜日

パーマカルチャーについて その1

Fryers forest in Australia "Permacultural Eco-Village"
突然ですが、「パーマカルチャー」という言葉をご存知でしょうか?
英語で書くとPermacultureです。

permanent(永久の)とagriculture(農業)またはculture(文化)を合体させたオーストラリア生まれの造語で、1970年代に当時タスマニア大学の教授であったビル・モリソンとその生徒であったデビット・ホルムグレンによって作られた学問体系と言われています。

パーマカルチャーの定義は下の本から引用します。
『パーマカルチャー −農的暮らしの永久デザイン−』1993 ビル・モリソン/レニー・ミア・スレイ著 田口恒夫/小祝慶子訳 農文 p. 7
パーマカルチャーというのは、人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系のことである。パーマカルチャーという語そのものは、パーマネント(permanent 永久の)とアグリカルチャー(agriculture 農業)をつづめたものであるが、同時にパーマネントとカルチャー(文化)の縮約形でもある。文化というものは、永続可能な農業と倫理的な土地利用という基盤なしには長くは続きえないものだからである。
これだけではあまりピンと来ないかもしれませんが、かつての日本の田舎で見られた「里山」や、現在では「持続可能な循環型社会」などと言った感じを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
パーマカルチャーでは、「恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン」をするために多くの学問分野の知識を動員しています。
生態学、環境学、気象学、建築学、農学、地形学、電気に関することなどなど…。
さらには、自分の住む土地だけでなく、地域や社会のことも視野に入れて持続可能な環境をデザインしていきます。

もちろん全ての分野でエキスパートになる必要はないと思いますが、ある程度の知識とそれらを横断的に使いこなす必要は出てくると思います。
ある意味、「百姓」的だし、里山に近いものがありそうですね。

自然の力を利用しつつ持続可能な生活を作り上げていくという点では、パーマカルチャーも里山文化も目的は同じですが、パーマカルチャーではそのような生活をあらかじめ「デザインをする」という点で少し異なるかもしれません。

日本の里山は、限られた自然環境の中で自分達が永続的に暮らしていけるよう長い年月と人々の知恵を集めて洗練されていった生活スタイルです。
長い間パーマカルチャー的な生活をしていった「結果」とも言えます。

化石燃料の台頭と高度成長の影響で里山が失われつつあると言われて久しい現在では、もし我々のような若い世代(30代)が里山文化を継承したいと考えた場合、里山について本で読むか、まだ里山文化が残っている場所に行って体験するか、あるいはまだご存命のご老人に教えていただきながら自分が実践していくという方法が考えられると思います(他にもあるかもしれませんが)。

では、日本には里山文化というものがあるのに、あえてオーストラリア生まれのパーマカルチャーを学ぶ意味はどこにあるのでしょうか?

先ほども述べたように、我々の世代で特に都会から田舎に移住して来た場合(いわゆる「Iターン」)、どのようにしたら周囲の自然環境になるべく負荷をかけずに、自給自足的な生活ができるかと考えると、何も知識も経験もない中で生活していくのは難しいと思います。
そこで指標になるのが、パーマカルチャーというものだと私は考えています。
どのような土地を選べば良いか、それをどのように利用したらいいか、周囲の地域の状況はどうかなど、あらかじめデザインできれば(想像できれば)、田舎暮らしもしやすいのではないでしょうか。

私のような小柄で細身で眼鏡の都会のもやしっ子みたいな人間が(もやしは大好きですよ^^)、いきなり志しの高さだけで「田舎暮らしをする!」なんて言い出したら周囲の人は止めるでしょう。
まあ、実際止められもしましたけど(笑)。

ただ、私自身はオーストラリアでパーマカルチャーを3カ月半ほど学び、日本でも1年近くかけていくつかの農家さんの所で研修をし、さらに金銭的な準備もしてからここ岡山に来ました。

ここ草が生まれる農園も基本的にはパーマカルチャーを参考に周囲の環境をデザインしつつ勉強しつつ、暮らしています。
パーマカルチャーについては、まだまだたくさんありますので、またシリーズでブログに投稿したいと思います。

fryers forestのコミュニティハウスにて
中央後ろにいる眼鏡の若者が私

2015年2月17日火曜日

工房のロフト作り

段々と春の足音が聞こえる今日この頃ですが、ここ岡山では早くも空中に様々な微粒が漂っています。
花粉、黄砂、PM2.5(この言い方で正しい?)などなど。
「空気がきれい」が自慢の田舎でも容赦なく降り注ぎます。

数日前からなんか咳が出るなあ、風邪かなあ、なんて思ってたらそういうことだったのね。
そんな時はぬるい三年番茶に塩を入れて喉と鼻のうがいをして対応します。

さて、セルフビルドの草が生まれる工房の菓子工房にロフトを作りました。
前々から作ろうと思っていたのですが、材料もあるし、ちょっと作らないといけない事情もあったので急遽作ってしまいました。

コンポストトイレを作った際に余分に買ってしまった2×4の角材を利用します。
まずは「墨付け」。
「墨付け八年」と昔の大工さんが言ってたように、
これがちゃんとしていないと後が全て狂ってしまうんですよね。
とはいえ、日曜大工レベルの私にはそこまでの精度は難しいです(そもそも8年もやってないし^^)。

1寸(30.3mm)×1寸をカットします。
あの「一寸法師」の一寸です。


写真奥の梁(はり)と手前の梁の間にロフトを作ります。

ノミやノコギリなど手持ちの道具を駆使して、先ほどの床の土台となる角材(大引)が入るように梁に穴を彫っていきます(これをホゾ穴と言います)。

見えづらいかもしれないので、別角度で。
本当はもっと抜けにくいホゾもあるのですが、難易度が上がる分時間もかかるし、
そこまでしなくても大丈夫だろうということで、四角いホゾ穴です。

15寸(455mm)間隔で大引を入れていきます。
よーく見ると少しすき間が空いているのはご愛嬌ということで。

床の縦がの長さが6尺(約1820mm)になるようにするため、5本の大引を入れました。
この5本の大引を付けるために10個のホゾ穴をひたすら彫り続けたましたよ〜!

後は床となる杉板(相じゃくりはなしで)を並べていきます。

そんなこんなで完成です。

before
after 

細かい部分を見るとけっこういい加減ですが、本職の大工さんではないので十分な出来と言えるのではないでしょうか。
材料費は約5,000円くらいかな。
2人で1日仕事とはいえ、5,000円でロフトが作れちゃうなんて安いですよね?

技術的には何も難しいことはしてないし、素人レベルで必要なのは「やる気」と「根気」だと思います。
こういうことをしてると、器用だと思われがちですが、まったくそんなことはなく、どちらかと言うと不器用な部類に入ると思ってます。
小さい頃から図画工作は苦手だったし、簡単なプラモデルなんかでも完成させたためしはないし、塗り絵なんか絶対はみ出すし、そもそも大雑把な性格なんですよね。

まあ、こんな私でも小屋が作れてしまうので、まずは机や棚でも挑戦してみることが大事ではないかと思います。

2015年2月13日金曜日

「豊かさ」の条件のひとつ

立春が過ぎ、日が延びて春が段々と近づいてくるのが感じられます。
そろそろ畑の準備もしないとな、ということでちょっと畑の様子を見に行きました。

自然農の畑も4年目に突入です。
ちゃんとニンニクも育ってますね〜。がんばれ〜!

まだ畑に残っている野菜達を収穫しました。
白菜も大根も小さいし、小松菜は虫食いだらけだけど、どれもおいしいです。

昨年は里芋が大豊作でした。
もちろん、農薬も肥料も一切使わずにです。

最近、「豊かさ」についてちょっと考えていた時に、
「おいしい食べ物が身近に手に入る」ということがひとつの条件ではないかなあと思いました。
「豊か」であるとはどういうことでしょうか。
お金がたくさんあること?物がたくさんあること?便利であること?
それらも「豊かさ」の条件ではあるでしょう。
粗悪な物がたくさん供給されている状態とは違いますよね。

「豊かな」という形容詞の後に付ける言葉をちょっと思い浮かべてみると、
自分なんかは「豊かな自然の恵み」、「豊かな海」など自然から受けるおいしい食べ物を連想してしまいます。
その豊かな自然から「おいしい食べ物が身近に手に入ること」って豊かさの条件としてけっこう上位に来ると思いませんか?
野菜は人為的に作られた作物という意味で厳密には「自然」とは違うかもしれませんが、
その議論はここでは置いておきます。
でも人は自らその豊かな恵みを与えてくれる自然環境を壊したりしてしまいますよね…

そんなことを考えていたら、ふと5年以上も前にいったインドの田舎の家族を思い出しました。
インドに旅行した際にカルカッタで知り合ったインド人のお兄さんに招かれ、カルカッタから電車で一晩走ったかなりの田舎まで行き、そのお家には2週間ほどお世話になりました。
おそらくその村に来た初めての日本人だと思います(笑)。


その家は電気もガスも水道もない、風呂もトイレもない家でした。
夜は当然真っ暗だし、お風呂は昼間に井戸水でさっと浴びるだけ、
トイレは外で用を足すという具合で今の日本からだとちょっと想像のつかない生活ですよね。
お世辞にも裕福とは言えない環境の中でも子ども達は元気だし、
私も毎日みんなで歌を歌ったりしながら笑顔の絶えない楽しい時間を過ごしてました。

一番左の子はよく見かけたし一緒に食事もしてたけど、ここの家の子ではなく、近所に住む子でした^^

9人兄弟の一番上のお姉さん(写真の右にいる女性)が作るチャパティは絶品で、
カレーも具は少ないものの、スパイスはその場ですり潰し、香りも味も最高でした。

毎食こねては焼きの繰り返し。
1日2食だったけど、お腹いっぱい食べてたし貧乏で惨めな感じはいっさいなかった印象があります。

お世話になった家族の写真です。
9人兄弟で、招いてくれたお兄さんは「魂が抜かれる」みたいなことを言い、写真に写らず(笑)
一番左の女性がお母さんで、お父さんは出稼ぎ中とのことでした。

2週間程度の滞在でしたので全ては分かりませんでしたが、
畑もやっていて、鶏も飼っていました。
スパイスなどはときどき買い出しに行ったり(歩いて片道2時間ほど!もちろんスーパーではなく)もしてましたが、
やはり身近で採れて、自分達で作るおいしい食べ物を家族で食べるが基本でした。

お金も物も、ましてや日本で当たり前のインフラ設備もないけど、
毎日おいしいものを食べ笑って過ごす家族に「豊かさ」を感じました。
もちろん現実には大変なことも多いと思いますが、でもやっぱりお金や物があればいいわけではないなあと思ってしまいます。

このインド滞在記もまた紹介したいと思います。

2015年2月6日金曜日

二代目コンポストトイレ作り

コンポストトイレという物をご存知でしょうか?
水を使わないエコなトイレとして、または災害時に役立つトイレとして知ってらっしゃる方も多いと思います。
バイオトイレとも呼ばれています。

コンポストトイレは、基本的には水を使わず、おがくず(木を切った際に出る木の粉)や籾殻を排泄物にかけ、溜まったら土に還していくというものです。

水分を分けたり、プロペラみたいので撹拌して発酵を促すタイプもありますが、
うちではそれらの装置を付けずにおがくずをかけるのみにしています。

臭いはほとんどなく、木のいい香りがすると言ったら言い過ぎかもしれませんが嫌な臭いはしません。
むしろ公衆トイレや昔のぼっとん便所の方がきつい臭いがするのではないでしょうか。

おかくずは近所(と言っても車で15分ほど)の製材所に半年ごとくらいにもらいに行きます。
溜まった排泄物は約1カ月に1回のペースで家の裏に捨てる場所を設けて土を掘ってそこに入れます。
何年か経ったら排泄物もおがくずもすっかり分解されて畑の肥料にも使えるのですが、
うちでは畑に肥料を使わないで作物を育てているのでそのまま土に還って行くという具合になってます。
前に捨てたおがくずの中からカブトムシの幼虫が出てくるという特典(?)はあります。

トイレやお風呂といった生活排水に大量の水を必要とする現代の住宅ですが、日本ではそこまでトイレの水に神経を使うほどには困っていませんよね。
しかし、使える水が少ない国や地域や、または災害時では大変有効なトイレとなります。
下水が通ってないわが家でも有効です^^

さて、本稿の本題に入ります。
3年ちょっと前、こちらに引っ越した時に最初に作ったのが下の写真のコンポストトイレでした。
在り合せの廃材で作り、すぐに作り直そうと思っていたら3年以上経過していました。
屋根が壊れていたので、さすがに屋根だけでも改装しようと思っていたところ、突然土台の部分が崩れ、トイレが崩壊しました(笑)
一瞬で崩れしまい、「なんでもそうだけど、壊れる時は一瞬なんだなあ」としみじみしてしまいました。

トイレがないと困る!ということで、他の全ての仕事を置いて二代目コンポストトイレを急遽作ることにしました。

今後コンポストトイレを作る方のためにも参考に写真を掲載します。

外寸は910mm×910mmです。
400mmの柱を土台にします(独立基礎)。

外寸が910mm×1820mmになるよう枠を2×4材で4つ作りそれを合体させます。

その上に桁と垂木を乗せていきます。
屋根の横幅は1800mmで、縦も1800mmとなります。
45mm間隔で垂木を5本置きました。
この寸法にすると、前後左右をはみ出すようにして波トタンがちょうど3枚になります。
屋根の角度は適当にしてしまいました^^
写真からは見えませんが一応、桁の垂木を乗せる部分に溝を掘ってますよ〜。
 

昼間に電気が必要ないよう、透明な屋根にしました。
夜は電池式のセンサーライトを取り付ける予定です。
夏の暑さが心配ですが…

壁は910mm×1820mmの針葉樹の合板です。
これを側面と背面に貼っていきます。
トイレだし、今回は窓なしです。

知らない人が見たら「なんだろう?」と思いそうな建物ですね(笑)

思ったよりも狭くなってしまいましたが、まあ良しとします。


 後は扉を付けて完成です。
扉は倉敷の天文台の事務所を解体した時にいただいてきた古い物です。
取手の部分がレトロな感じがしていい感じになってます。

一部窓が壊れていますが(笑)、ほぼ完成しました。
サザエさんのエンディングに出てくる小屋みたいになりましたが、いかがでしょう?
温かくなってきて臭いや虫が気になりそうだったら、横に渡している木にレモンバームやミントなどいい香りがして虫除けになる植物を置こうかしら、なんてちょっとおしゃれなことも考えています。
それを食べるのには勇気がいりますが^^

このトイレを作るのにかかった時間は、2人で約1日半というところです。
3年間いろいろ作ってきて技術も知識も増え、けっこういいトイレができたと自己満足しています。
材料は新しく買って来た物が2万円ちょっとでしたが、
普通トイレを新しく作るとなると何十万円もかかると思ったら安いもんですよね。

今回はトイレになりましたが、この小屋の作り方は物置小屋でもちょっとした休憩所でもなんでも応用がききます。
街中に住む方でもホームセンターで手に入る材料でできてしまうので、
挑戦されてはいかがでしょうか?