2015年2月20日金曜日

パーマカルチャーについて その1

Fryers forest in Australia "Permacultural Eco-Village"
突然ですが、「パーマカルチャー」という言葉をご存知でしょうか?
英語で書くとPermacultureです。

permanent(永久の)とagriculture(農業)またはculture(文化)を合体させたオーストラリア生まれの造語で、1970年代に当時タスマニア大学の教授であったビル・モリソンとその生徒であったデビット・ホルムグレンによって作られた学問体系と言われています。

パーマカルチャーの定義は下の本から引用します。
『パーマカルチャー −農的暮らしの永久デザイン−』1993 ビル・モリソン/レニー・ミア・スレイ著 田口恒夫/小祝慶子訳 農文 p. 7
パーマカルチャーというのは、人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系のことである。パーマカルチャーという語そのものは、パーマネント(permanent 永久の)とアグリカルチャー(agriculture 農業)をつづめたものであるが、同時にパーマネントとカルチャー(文化)の縮約形でもある。文化というものは、永続可能な農業と倫理的な土地利用という基盤なしには長くは続きえないものだからである。
これだけではあまりピンと来ないかもしれませんが、かつての日本の田舎で見られた「里山」や、現在では「持続可能な循環型社会」などと言った感じを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
パーマカルチャーでは、「恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン」をするために多くの学問分野の知識を動員しています。
生態学、環境学、気象学、建築学、農学、地形学、電気に関することなどなど…。
さらには、自分の住む土地だけでなく、地域や社会のことも視野に入れて持続可能な環境をデザインしていきます。

もちろん全ての分野でエキスパートになる必要はないと思いますが、ある程度の知識とそれらを横断的に使いこなす必要は出てくると思います。
ある意味、「百姓」的だし、里山に近いものがありそうですね。

自然の力を利用しつつ持続可能な生活を作り上げていくという点では、パーマカルチャーも里山文化も目的は同じですが、パーマカルチャーではそのような生活をあらかじめ「デザインをする」という点で少し異なるかもしれません。

日本の里山は、限られた自然環境の中で自分達が永続的に暮らしていけるよう長い年月と人々の知恵を集めて洗練されていった生活スタイルです。
長い間パーマカルチャー的な生活をしていった「結果」とも言えます。

化石燃料の台頭と高度成長の影響で里山が失われつつあると言われて久しい現在では、もし我々のような若い世代(30代)が里山文化を継承したいと考えた場合、里山について本で読むか、まだ里山文化が残っている場所に行って体験するか、あるいはまだご存命のご老人に教えていただきながら自分が実践していくという方法が考えられると思います(他にもあるかもしれませんが)。

では、日本には里山文化というものがあるのに、あえてオーストラリア生まれのパーマカルチャーを学ぶ意味はどこにあるのでしょうか?

先ほども述べたように、我々の世代で特に都会から田舎に移住して来た場合(いわゆる「Iターン」)、どのようにしたら周囲の自然環境になるべく負荷をかけずに、自給自足的な生活ができるかと考えると、何も知識も経験もない中で生活していくのは難しいと思います。
そこで指標になるのが、パーマカルチャーというものだと私は考えています。
どのような土地を選べば良いか、それをどのように利用したらいいか、周囲の地域の状況はどうかなど、あらかじめデザインできれば(想像できれば)、田舎暮らしもしやすいのではないでしょうか。

私のような小柄で細身で眼鏡の都会のもやしっ子みたいな人間が(もやしは大好きですよ^^)、いきなり志しの高さだけで「田舎暮らしをする!」なんて言い出したら周囲の人は止めるでしょう。
まあ、実際止められもしましたけど(笑)。

ただ、私自身はオーストラリアでパーマカルチャーを3カ月半ほど学び、日本でも1年近くかけていくつかの農家さんの所で研修をし、さらに金銭的な準備もしてからここ岡山に来ました。

ここ草が生まれる農園も基本的にはパーマカルチャーを参考に周囲の環境をデザインしつつ勉強しつつ、暮らしています。
パーマカルチャーについては、まだまだたくさんありますので、またシリーズでブログに投稿したいと思います。

fryers forestのコミュニティハウスにて
中央後ろにいる眼鏡の若者が私

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